校区福祉委員会

小地域ネットワーク活動

地域の福祉課題に取り組む校区福祉委員会の中心的な活動として、「小地域ネットワーク活動」を進めています。
1.小地域ネットワーク活動とは
急速に少子・高齢化、核家族化が進んでいるなかで、支援を要する人々も増加してきています。小地域ネットワーク活動は、ひとり暮らしの高齢者や、寝たきりあるいは認知症といった状況にある高齢者世帯、または障害者世帯、子育て中の親子の暮らす世帯など、なんらかの生活課題を抱えた方々が、住み慣れたまちで、自立した生活を送ることが出来るよう、身近な地域のボランティアをはじめ、保健・医療・福祉関係機関が連携して支援する活動です。
2.小地域ネットワーク活動を必要とする社会背景
  • 社会関係や人間関係の希薄化
    以前はどの地域でもあったご近所の助け合いが、生活の都市化や核家族化の進行に伴い、失われつつあります。所得や家族などの生活基盤が不安定になったり、壊れたことをきっかけに、地域社会からの孤立に至るケースが少なくありません。
  • 公的サービスだけでは限界
    在宅の場合には、要援護の状態であっても、24時間専門機関が対応し続けることは限界があります。
    専門機関と住民が手を結び、要援護者が制度の狭間に埋もれないような取組みが求められています。
  • いざという時、力を発揮するのが地域のつながり
    平成7年、兵庫県を中心に大きな打撃を与えた阪神・淡路大震災。倒壊した家屋の下から被災者を救い、救援活動を行ない復興のため近隣の助け合いが大きな力となりました。
    日常的なつながりがいざというときにも力を発揮します。
3.小地域ネットワーク活動の具体的な取り組み

個別援助活動のいろいろ

小地域ネットワーク活動は、当事者の抱えている問題の解決をめざすものです。日常的・継続的な個別援助活動を基本としながら、当事者のニーズを早期発見し、可能な限り未然に防止することが大切です。
  • 見守り、声かけ活動
    (支援を必要とする人に対する見守り、安否確認、声かけ訪問)
    新聞受に新聞等がたまっていないか
    洗濯物が何日も干されたままになっていないか
  • 簡易なサービスの提供
    (ふとん干しや電球の交換等、高齢者が日常で困難とするようなこと)
  • 災害時要援護者支援に関する活動
    日常的な個別援助活動を通した災害時における要援護者の把握
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グループ援助活動のいろいろ

公民館など地域の公的施設を会場に、目的別に集うことによりニーズ把握や安否確認、情報提供などを行います。
  • いきいきサロン活動(高齢者サロンや子育てサロン)
    高齢者、障害者、子育て中の親子などを対象とし、身近な場所で地域住民・ボランティアが協働して企画・運営する気軽で楽しい仲間づくり活動です。
  • ふれあい食事(会食)サービス
    会食とともに高齢者や障害者が地域住民とのふれあい交流を図ります。
  • 世代間交流活動(ふれあいまつり、もちつき大会)
    地域の高齢者から昔遊びを教わったりして、子どもと高齢者とのふれあい交流の場。学校と協働で子どもたちや地域住民に対する福祉教育の場でもあります。
  • 地域リハビリ
    OT(作業療法士)やPT(理学療法士)等の専門スタッフの指導とボランティアの協力によるリハビリ活動。
  • 災害時要援護者支援に関する活動
    日常的なグループ援助活動を通した災害時における要援護者の把握や啓発活動等。
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4.小地域ネットワークの機能と働き
  • 見守り
    最も重要な、代表的な機能。当事者の状況により、月に1~2回の場合もあれば、より頻度の高い体制をとる場合もあります。見守る対象者の個別台帳を作成しましょう。
  • 保健・福祉・医療などの情報提供
    文書やチラシなどの宣伝物、口頭やビデオを通じて、また実施見学や体験入所などの情報を提供します。
  • 精神面における支え
    当事者やその家族が地域社会から孤立するのを防ぎ、誰かが見守ってくれているという安心感を持ちながら同じ地域社会の一員として支えていくことが大切です。
  • 早期発見
    問題を早期に発見し、その進行や容態の悪化をくいとめられたこともあります。緊急時の対応マニュアルがあれば安心です。
  • 予知・予防
    問題はなるべく未然に防ぎたい。活動が成熟するにつれて予知・予防が課題になってきます。
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  • ニーズ把握、相談
    具体的なニーズは何かを把握し、相談に応じます。ニーズは変化していくので、そのたびしっかりと把握します。
  • 簡易なお手伝い
    郵便物の投函、代筆、買い物、散歩の付き添い、薬とり、留守番など。
  • 福祉のまちづくりの推進
    住民自身が福祉課題を理解し、活動参加への熱意と行動力を持つきっかけに。
    小ネットが要援護者のすべてに張られているようなまちこそ「福祉のまち」といえます。
    研修会やワークショップの開催も効果的です。
  • 制度・サービスの活用促進
    活用できる制度やサービスを積極的に紹介し、活用を促進します。
  • 関係機関、団体との連携
    当事者の日常生活に関わる様々な関係機関や団体との連携を深めていくことが大事です。
  • 緊急時の通報
    緊急時には、あらかじめ決められた連絡先にすぐ通報します。
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5.小地域ネットワーク活動と防災に強いまちづくり
全国各地で災害が起こり、災害時にささえあえる地域づくりの必要性は年々高まっています。特に災害時要援護者と言われる高齢者や障害(児)者、子育て中の世帯、外国人の方など、災害時において不自由な生活が生じやすい方への支援の仕組みづくりは、大きな課題となっています。
災害時には、普段以上のことはできないと言われます。つまり日頃の活動でどれだけ顔の見える関係をつくり、地域の中でつながりをつくれているかが問われます。
こうした地域づくりは、地域での孤立化を防ぐ小地域ネットワーク活動そのものであり、この取り組みの中で防災の取り組みを絡め意識を高めていくことが必要となっています。
地域で防災訓練があった場合には、参加、協力するとともに、地域の自主防災組織や消防団などの関係組織と連携を深める取り組みをすることも大切です。
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